「明日死ぬかのように生きなさい。永遠に生きるかのように学びなさい」

朝日新聞(2014年08月22日大阪朝刊ひととき欄)へのNさんの投稿文から引用しました。

ご尊父の看病で勉強会を休むことになったNさんを励ます手紙。その暖かい文面に友人の方が座右の銘として冒頭の言葉を添えて下さったのだそうです。

学ぶことを支えとして命の限り生きること。

ここにメモしたのは、優れた逆説(パラドックス)的表現だから、って訳じゃなく、新聞投稿によって言葉が読者に受け渡され、引き継がれる、そこに私がいたっていう御縁を記したかったんでしょうか、ね。

オランダの木はすごく単調なんですよ。

オランダの設計事務所で活動した吉村康孝氏が読書を語りながら(吉村氏他著TOTO出版『建築家の読書術』201頁)興味深い指摘をしています。

氏によると、干拓でできたオランダの国土は山がなく、風は常に一方向から同じように吹くし、地下水脈や地質も安定して差がない。そこに育った木は全然多様に見えない。枝振りまで同じ木が等間隔に並び、まるでCGの景色だという。

そこでは「自然」は多様性を生むのでなく、放っておくと均質化してしまうのだそうだ。そういう現実に対峙してオランダの建築家は「多様性」を最大化しようと試みる。

対照的に、地勢も季節も変化に富む日本の場合は、放っておくとバラバラになる現実があるが故に、多様性を死守するという議論になじめない•••

読者の私が面白く感じたのは、自然環境とそこに住む人々の意識の関係です。氏の仮説を敷衍すると、画一的でまとまりが重視されると言われる日本の社会は国土の多様な自然環境に由来するということになるのでしょうか。

 

成功するかどうかは、人生をうずめている奴が一人いるかどうかですね

•••オープンソースプロジェクトも•••ほとんど失敗するよね。(成功と)の差は何だと思う、と筆者梅田望夫が尋ねた時に、石黒邦宏氏が答えた言葉が印象的だ。梅田望夫ウェブ時代をゆく』66頁。

命懸けの仕事によって達成されるのは、今も変わらず、ということでしょうか

ITは、盗聴、偽造、海賊版製作などの「悪事」をも効率化する

情報技術は社会活動を効率化するのはもちろんですが、同時に、表題のように「悪事」も、迅速かつ容易に、しかも少ないリスクで実行できるようになるそうです。

IT問題を考える際に参照すべき坂村健氏の著作『21世紀日本の情報戦略』(2002年刊岩波書店)では、加えて、次のような情報セキュリティの問題が指摘されています。

ネットワーク化社会に大挙流入してきているコンピュータに詳しくないエンドユーザーと、コンピュータに詳しい悪人という組み合わせは、悪人にとっての最大の効率、最低のリスクでエンドユーザーを餌食にできるという、非常に極端で望ましくない状況を生んでいる。〉坂村前掲162頁。


笑顔をもっているかどうかで、生き延びられるか、が決まる

「世界のどこへ行っても、相手が拒否できない笑顔を自分が持っているかどうかで、生き延びられるかどうかまで決まる」。

ベトナム戦争でまず名を上げた日本人カメラマン岡村昭彦氏は、上記のとおり、笑顔が大事という持論を持っていた、とイスラム国の邦人人質事件に関して二十一日付朝日新聞天声人語は同氏の言葉を紹介する。

平和の有難さ、人間の生命の値打ち、そしてそれらを守る人々の知恵と工夫について改めて考える。また、笑顔が通じない世界、というものを想像してみる。

IoT(Internet of Things)は人を中心とした「コト」のインターネット

続けて「ICTを活用して、どのような新しい文化を創造するかが重要になる」。パナソニックの梶本氏は講演でこう語った、と日経コンピュータの竹居記者は伝えています。

そして、IoTが一過性のブームに終わらないよう(システムの初期投資や運営のコストの関係でその懸念があるとのこと)、IoTを生かした新しいビジネスモデルを徹底的に検討し、構築コストを上回る価値を設計することだろう、と提案されている。

その価値は同記者も記す「顧客」に新しいメリットを提供すること。冒頭のモノのインターネットを、人を中心に「コト」と捉え、新しい文化の創造だとする発想もいいですね。ものづくりビジネスも、ユーザーに新しい価値を提供するサービス業に他なりません。

記憶のグーグル化 ー 情報の濾過と知識の断片化

「かつて私は言葉の海のスキューバダイバーだったが、今では‥‥水上バイクを操縦(する)ように、水面を快走している」(テクノロジーライターNicholas Carr氏が数年前に雑誌Atlanticに寄稿した文章の表現)。

情報源をウェブに依存することで思考回路が根本的に変わり、ネットの配信方法に従って情報をそのままに受け止めるのを当然としている自身に懸念を示すもの、かと読み取れます
『グーグル化の見えざる代償  ウェブ・書籍・知識・記憶の変容』(インプレスジャパン刊。原著”The Googlization of Everything: And Why We Should Worry” by Siva Vaidhyanathan)242頁からの引用です。
冒頭の記憶のグーグル化‥云々はその本の第六章の表題で、それに先立つ章として、私たちのグーグル化、世界のグーグル化、知識のグーグル化、があって、その畳み込まれる様な表現にはやや違和感を覚えますが•••。
その当否はともかく、私達ユーザーはこのネット社会のもたらす光と影の両面について、さらに意識を高めていくべきかと思われます。自戒を込めて。