オランダの木はすごく単調なんですよ。
オランダの設計事務所で活動した吉村康孝氏が読書を語りながら(吉村氏他著TOTO出版刊『建築家の読書術』201頁)興味深い指摘をしています。
氏によると、干拓でできたオランダの国土は山がなく、風は常に一方向から同じように吹くし、地下水脈や地質も安定して差がない。そこに育った木は全然多様に見えない。枝振りまで同じ木が等間隔に並び、まるでCGの景色だという。
そこでは「自然」は多様性を生むのでなく、放っておくと均質化してしまうのだそうだ。そういう現実に対峙してオランダの建築家は「多様性」を最大化しようと試みる。
対照的に、地勢も季節も変化に富む日本の場合は、放っておくとバラバラになる現実があるが故に、多様性を死守するという議論になじめない•••。
読者の私が面白く感じたのは、自然環境とそこに住む人々の意識の関係です。氏の仮説を敷衍すると、画一的でまとまりが重視されると言われる日本の社会は国土の多様な自然環境に由来するということになるのでしょうか。
IoT(Internet of Things)は人を中心とした「コト」のインターネット
続けて「ICTを活用して、どのような新しい文化を創造するかが重要になる」。パナソニックの梶本氏は講演でこう語った、と日経コンピュータの竹居記者は伝えています。
そして、IoTが一過性のブームに終わらないよう(システムの初期投資や運営のコストの関係でその懸念があるとのこと)、IoTを生かした新しいビジネスモデルを徹底的に検討し、構築コストを上回る価値を設計することだろう、と提案されている。
その価値は同記者も記す「顧客」に新しいメリットを提供すること。冒頭のモノのインターネットを、人を中心に「コト」と捉え、新しい文化の創造だとする発想もいいですね。ものづくりビジネスも、ユーザーに新しい価値を提供するサービス業に他なりません。
記憶のグーグル化 ー 情報の濾過と知識の断片化
「かつて私は言葉の海のスキューバダイバーだったが、今では‥‥水上バイクを操縦(する)ように、水面を快走している」(テクノロジーライターNicholas Carr氏が数年前に雑誌Atlanticに寄稿した文章の表現)。