米国は世界経済の擬似的な政府部門。

複雑な世界経済を理解する上で八代尚弘先生はとても有益で巧みなコメントをされているので、やや長文になりますが引用させていただきたい。

 《国際通貨を供給している米国は、世界経済にとって、いわば擬似的な政府部門と見なすこともできる。これは、米国の経常収支赤字の拡大の原因は一国の財政赤字と同様に景気を刺激する一方で、逆にその縮小や財政再建はデフレ効果をもたらすからである。

  米国債は各国の国債流動性を確保するための外貨準備として用いられているが、これは政府の借金である国債が、家計や企業の金融資産であることと同じである。いずれも、乱発されなければ信頼性の高い資産としての価値を有している》(八代『反グローバリズムの克服』65頁)。

「現在の米国の経常収支赤字の規模は•••日本、独、中国等の黒字額 の合計にほぼ匹敵している」との指摘もなるほどと思わせます。